平成28年(2016年)中小企業・小規模企業 白書から

中小企業白書は、収益や課題を分析したうえで、中小企業の稼ぐ力に着目し、生産性向上のためのIT(情報技術)活用、売り上げ拡大のための海外展開、リスクマネジメントについて取り上げた。
小規模企業白書は直面する課題を分析したうえで支援機関の取り組み、地域での小規模事業者の役割などを取り上げたほか、地域密着で活躍している44の事例を紹介している。
下記においては、 中小企業と小規模企業における「IT活用について」の関連個所から抜粋しています

第2部 中小企業の稼ぐ力・第2章・中小企業におけるITの利活用から
労働力不足という供給制約下で、稼ぐ力を強化していく手段として、ITの利活用が考えられる。IT技術の進歩は著しく、企業の経営資源として欠かせないものになっており、その活用方法によっては企業の稼ぐ力が大きく左右される可能性がある。さまざまな課題を抱えているためにITを導入できていない企業や、IT投資を行っても期待した効果を得られていない企業もいるが、そのような中小企業も高収益企業の取り組みにならい、IT投資の成功のポイントを把握し、多様なIT人材を活用しながらIT投資を行うことで、自社の業績を向上させることができる。少子高齢化に伴う我が国の人口減少により、今後人手不足がますます加速していくと考えられる中、中小企業においても今後ITを導入することによって合理化・省力化を行っていくのみならず、稼ぐ力を強化していくことが期待される。
第2節中小企業のIT活用の効果と活用の実態
IT投資を行っている企業と行っていない企業では売上高、売上高経常利益率共に、IT投資を行っている企業の方が、行っていない企業に比べて水準が高い
IT投資と従業者数の関係
「業務効率化のための基幹系システム」の導入では13.3%、「作業の自動化やアシストをするハード・ソフト」の導入では10.1%、「付加価値向上のための業務支援系システム」の導入では8.0%の企業が、従業者数が減少したと回答していることが分かる。これは、これらの投資が主に合理化・省力化を目的としたIT投資であるため、IT投資により業務フローを見直すことができ、結果的にこれらのIT投資を行うことで従業者数が減少した企業がいるものと考えられる。
IT投資については、IT投資により新たな取引先を開拓することで売上が拡大し、それに伴い対応できる従業者を新たに雇用していることが推察される。さらに、先ほど一部のITで従業者数が減少したことについて見てきたが、付加価値向上のためのITと業務効率化のためのITの両方を導入している企業は、バックオフィス業務でのIT導入により省力化を行い、そこで余剰となった人材を、今度は付加価値向上のためのITを導入した販売・営業といった業務分野に配置換えをすることで、社内全体としては従業者数を変化させることなく、業績を向上させている。
第1部 小規模事業者の動向・第2章:小規模事業者の活動実態と取組・第2節 小規模事業者の IT 活用の現状から
IT 機器(情報通信機器)の保有状況について
小規模事業者における、パソコン、スマホ、タブレット等の事業用の IT 機器(情報通信機器)の保有状況は「保有している」が 87.5%となっているが、「保有していない」とする回答も 12.5%あり、8 者に 1 者が事業用の IT 機器を保有しない状況となっている。
事業用の IT 機器の保有状況について業種別では、「その他のサービス業」が 94.3%と最も高く、次いで「その他の業種」が 92.8%、「製造業」が 92.3%、「専門・技術サービス業」が 91.8%と続いている。一方、「飲食サービス業」は 73.2%と最も保有率が低くなっているほか、「生活関連サービス業」が 81.3%、「小売業」が 85.4%と、これらの業種における事業用の IT機器の保有率が相対的に低い。
情報管理面や宣伝面における IT 活用状況について
「事務処理ソフト(ワープロ、表計算、グラフ作成など)」が 62.2%、 「経理ソフト」が 40.5%と比較的高い活用率となっているものの、それ以外のソフト では、「顧客管理ソフト」が 25.7%、「その他の業務用ソフト」が 25.1%、「販売・仕 入ソフト(在庫管理など)」が 21.4%、「給与管理ソフト」が 14.4%、「税務申告ソフ ト」が 12.6%と、総じて低い活用状況となっている。 また、「特にない」との回答が 20.1%あり、情報管理面において全く IT を活用して いない者が約 2 割存在していることが分かる。
宣伝面における IT 活用率は、「ホームページ」を活用している者が 41.4%、「ブログ、SNS(フェイ スブック、ツイッターなど)」が 25.6%、「電子メール、メルマガ」が 16.5%、「ネッ ト(自社サイト)での受注・販売・予約」が 12.3%、「ネット(自社サイト以外)での受 発注・販売・予約」が 9.3%となっている。また、宣伝面において活用している IT が「特にない。」とする者も 43.9%おり、小規模事業者の宣伝面における IT 活用率は、 総じて低いものとなっている。
なお、「ネット(自社サイト)での受注・販売・予約」と「ネット(自社サイト以外) での受発注・販売・予約」の双方の重複回答を除くと、全体の 17.1%の事業者がイン ターネットでの受注を導入している。