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定年後は雇われずのんびり過ごしたいと思うか、自分の経験を生かしたい、極端に言うとどちらかだと思いますがここでは、定年後に起業してみる方へ、「働く」ことは、必ずしも「会社に勤める」ことだけではないはず。もう一つ、「独立自営・起業」という道もある。現在では、定年後の「起業」にも様々な手段や支援策が用意されている。どこかに「もう人に使われたくない」と思う気持ちがあるなら、自分のアイデアを、自分の力とやり方で、誰にも邪魔されずにやってみるというのも悪くない。定年後の起業の可能性について探っていくことにしよう。
2011年中小企業白書によると、近年、起業数は減ってはいるが、60歳代の起業家の増加傾向がみられるようです
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- ●「起業」の道を選ぶ人
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起業・・・。誰しも、人に使われることなく、自分の思い通りに仕事ができるなら、その方がいいと思うに違いない。もちろん、成功するとは限らない。失敗した時のことを考えると、とても、そんな度胸はないというのが大半だ。だから、「雇われて働く」ことを選ぶ。
では、どんな人たちが独立を果たしているのだろうか。今まで多くのリタイア世代に接してきた経験からいえば、定年前後の独立・企業組には、大きく分けて次の3つのようなタイプがある。
- 早めに会社に見切りをつけて、現役時代から着々と定年後の独立・起業の準備を始める人。案外、会社では優秀と見なされ、それなりの地位にあった人が多い。会社の現状と自分の将来を冷静に分析し、再雇用を選ばなかった人たちだ。リストラや成果主義などのデメリットも見てきたことで、会社との距離感を感じている人もいる。
- 定年制度に不満や不安が大きく、自分はまだこの会社に貢献できると思っている。いわゆる再雇用熱望組だが、なんらかの事情で、希望通りの職場に採用されず、その思いを起業に向ける。準備不足もあって、なかなか軌道に乗せるのは難しいが、悔しさをバネにがんばっている人。
- いったん再雇用などを経験してから、起業の道を選んだ人。定年直後は再雇用されたことの喜びで張り切っていたが、決して今まで通りに働けることではなかったという現実に直面。やはり自分の道を行くのが正しいと思い直す。新しい道を模索しながら進むタイプ。
- ●定年後の起業の形はざまざま
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起業する人のタイプが様々なら、起業スタイルもいろいろだ。リタイア後の起業としてもっとも可能性の高いのは、一人ビジネスである。起業というと、つい大きな構想を抱きがちだが、退職金をつぎ込んだり、莫大な借金をしたりまでの大きな賭けはお勧めしない。まずは、ローリスク、ローリターンの一人ビジネスから始めではどうだろうか。
起業の方法としては、個人として仕事をしていくか、会社(法人)を設立してやっていくかの2通りがある。まず、個人でやっていく場合は、これも自由業か個人事業主(自営業者)か、どちらかを決める必要がある。自由業の場合は、収入も支出もすべて個人のもので、税金も個人にかかる。
税務署や所在地の役所に開業届けを出せば、個人事業主となる。事業にかかった費用を経費として計上でき、青色申告という税制上の優遇措置を受けられる。年間300万円以上の売上げがあれば、個人事業主として登録した方がいいと言われているようだ。ちなみに、公認会計士、税理士、中小企業診断士などは法人化できないので、自由業となる。
次に、法人化だが、2006年に「新会社法」が施行され、会社設立のハードルがずっと低くなった。私が8年前に設立したのは有限会社。最低資本金が300万円必要だった。ところが今では、最低資本金の規定が撤廃されたため、極端なことをいえば、資本金が1円でも会社がつくれる。しかも、すべて株式会社だ。事業によっては、最初から法人化することを考えてもいいかもしれない。 - ●リタイア世代にふさわしい社会貢献型起業
- さらに、最近は新しい分類方法も生まれている。それは、利益追求型か、社会貢献型かという分類だ。今までは利益追求型の企業が大半だった。しかし、企業の社会的責任や社会貢献という概念が浸透するようになり、利益に加え、どれだけ社会に貢献できる事業を行ったかを価値基準とする企業や組織が生まれてきている。
リタイア世代には、ぜひ、社会貢献型の起業を目指してほしい。再就職であれ、起業であれ、定年後に働くということは、金銭的な面だけでなく、自分はまだ社会に必要とされている、役に立つ人間だということの証を求める気持ちがあるはず。であれば、今まで培った経験やスキルを社会に役立てる、還元するという視点は重要だ。リタイア世代に最もふさわしいのは、利益を上げつつ社会に寄与できる事業である。
社会貢献型の事業を行う人を「社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)」と呼び、その事業を「ソーシャルビジネス」という。介護や福祉、生涯教育、街づくり・町おこし、環境保全などの問題に取り組み、解決を図る仕事だ。もちろん、ビジネスであるからには収益をあげ、事業の継続性を確保しなければならない。
ソーシャルビジネスの形態としては、株式会社、NPO(特定非営利活動)法人、働き手自らが出資して経営を行うワーカーズ・コレクティブ、ワーカーズコープなどがある。中でも、地域性の高い活動は「コミュニティ・ビジネス」と呼ばれる。 - ●中高年起業の実態
- 起業家の年齢構成の推移によれば、 60歳以上の起業家の割合は、1979 年以降男女共に増加傾向にあることが分かる。
そして、男性は農林漁業といった一次産業や、建設業の割合が女性に比べて高い。、男性起業家の平 均年齢は、39.7歳から 49.7歳へ 10歳と男性全体平均を上回るペースで起業家の平均年齢が上昇している。
- 主な販売先は「一般消費者」が66.3%となっており、「事業所」(33.7%)を上回る(図-1)。ただし、他の年齢層と比べると「事業所」の割合が高い。
これは何事にも言えることだが、時間が経てば経つほど、何もしていないのに、「やっぱり無理かも」などと気持ちが萎えてしまいがち。“そうなれば、それまでのこと”程度の気持ちなら、それで止めておくのも一つの選択だ。ただ、「やっぱりやっておくべきだった」と後悔したくはないもの。
もちろん、定年後の家族とのイベントも大事。また、ことさらに焦る必要もない。ここはじっくり取り組むことにしたい。ということで、どちらもうまくやる方法の一つは、とにかくスケジュールを立てることである。何のスケジュールを組むかというと、大まかにはこの3つ。
- 起業に関する情報や知識を収集する期間
- 起業の具体的準備をする期間
- 事業のスタート時期
- ●どんな事業がいいかと迷っている人
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なにをするのか決まらないままに、一人で何かしたいという気持ちだけが先行する場合がある。そんな人にとっての「情報や知識を収集する期間」は、どんな事業をしたいのか、今の自分はそのためにどんな力やスキルがあるのか、何が足りないのかを見極めるための時間でもある。
気持ちが先行している人の場合、事業プランは迷いがち。あの事業がうまくいきそうだ、この分野の方がヒットするのではないかと、儲かりそうなネタを探して、あちこちに揺れ動く。つまりは、なかなか自分にフィットした事業が見つけ出せないでいるのだ。
そんな人が起業する意味があるのかと思うかもしれないが、人間というのは、そういうもの。最初からきちんとプランが整っていて、その通りに進んでいく人の方が珍しい。偉大な経営者と言われる人の伝記を読んでみれば、同じように、あっちに迷い、こっちに迷い、ままよの窮策が思いがけなくうまくいったなどということがある。 - ●セミナー受講で基礎固め
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いかにも、素晴らしいプランを立てて、予定通りにいったように見える人でも、後から考えると、そうだったのかもしれないという程度だったりする。意味など、いくらでも後付けできるのだ。
ということで、迷いに迷っている人でも、志や意欲があれば、チャレンジすればいい。リタイア後の身、いまさら遠慮はいらない。ある程度見極めたら、後は走りながら考えるという方法もある。もしかしたら、大実業家になる可能性がないともいえない。何もしなければ、可能性もゼロだ。
だからといって、事業はやっつけでは困るから、やるべき方向が見えたら、そのためには、どんな力やスキルが必要か、自分に足りないものは何かを見極める必要があるのだ。資格取得なども、その一つの手段である。
一方、これがやりたいと決まっている人の場合も、その気持ちが過ぎると、必要な資金や事業の可能性を分析せずに、突っ走って、失敗してしまったりする。事業で大事なのは、始めることではなくて、継続できるかどうかということ。スタートしたものの、ほとんど仕事にならず、結局、止めてしまったということにならないためにも、冷静な判断とプランが必要だ。ここをクリックして、あなたにピッタリの資格をみつけて下さい
- ●可能ならば実体験で
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「起業の具体的準備」でいえば、事業化する予定の業界・業種を実際に体験するという方法もある。この場合は、起業が最終の目的だから、正社員ではなく、アルバイトやパートのほうが、いつでも辞められるので都合がいい。
仕事の口があれば、派遣社員もおすすめだ。派遣というと、若い世代では、正社員の道がなくて選ぶという後ろ向きの選択肢になりがち。しかし、リタイア起業組にとっては、興味ある業界を経験し、実情を知って、ミスマッチを防ぐ手段として利用できる。
独立の決心がつき、準備を始めると、今までは目に付かなかったものが見え、聞こえなかったものが耳に入ってくる。これは当然のことで、興味のアンテナがそちらに向くからだ。関心がなければ、相変わらず、情報は耳元を通り過ぎていくことだろう。まさに、「チャンスは準備された心にのみ降り立つ」のである。

- ●米国の金融破綻から始まった世界同時不況。最近発行された雑誌の中には、「団塊世代の老後は破綻」や「団塊世代は75歳で貧困」といった見出しを掲げるものまである。心中穏やかではいられない。
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そんなときに、定年退職者に「起業」という危ない行動をすすめるのかと思う人もいるだろう。だが、こんな時だからこそ、自立の精神が必要だ。信じられるのは、自分自身の意欲と力。ほかに頼れる何があるのだろうか。
ということで、今回こそ「起業の心得」を取り上げようと思っていたのだが、昨今の環境を考えて、急遽、変更。先に「だからこそ起業する」意味を考えてみたい。 - ●今、事業を始めるのは正しいのか
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なぜ、自分たちにはいつも、肝心なときに過渡期がやってくるのだろう。そう思っている団塊世代は多いのではないだろうか。第2の人生に踏み出したばかり、あるいは、踏み出そうとしたとたんに、未曾有の不況がやってくる。せっかく立てた人生設計も、水の泡になるかもしれない。そんなときに、独立・起業なんて無理。
今や、そんな気分だろうか。だとしたら、どうしたらいいのだろう。やはり安定した収入が必要だと、再雇用や再就職に鞍替えするのか。しかし、ただでさえ狭き門の中高年就職口。不況下では企業に余裕がなくなり、再雇用も再就職もさらに厳しくなる。
「それなら、もういいや」とばかりに悠々自適で暮らすのか。できる環境ならば、それもいいだろう。しかし、貯金は目減りしていくばかり。その不安に耐えられるか。何より、まだまだ社会に役立ちたい、自分の力を発揮したい、生き生きと暮らしたいという自分自身の心の欲求はどうする。 - ●もはや、何かに頼れば安泰などという状況はありえない。大企業であっても倒産の危険が無いとはいえない時代。
- どちらにしても不安定なら、他人に自分の運命をゆだねるのではなく、早く自分で始めたほうがましというもの。まして、定年後の事業なら、無理な利益追求はしないで、自分のペースで事業をすすめることができるのだ。
- ●定年後の起業は「小さく生んで、長く続ける」
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何を始めるか決めかねている人が陥りやすいのは、“儲かりそうなこと”に手を出してしまうことだ。人間は弱いもの。これをやりたいと思っていても、別のほうに儲かりそうな口があれば、好きか嫌いかをすっかり忘れ、向いているか向いていないかも関係なく、儲かりそうな方向になびいてしまう。その結果、大失敗ということがよくある。
私の知り合いにも、人事の経験を生かし、引きこもりの子供たちを持つ親のための相談事業をするといっていたのに、いつの間にか、保険販売を始めてしまった人がいる。目先のお金がほしくなったのだろうか。決して、保険の販売が悪いとは言わないが、その人は保険の知識も興味もなかったはず。あせって仕事を選ぶ必要があったのか疑問だ。
もっと問題なのは、周囲の目を気にするあまり、見栄を張って、最初から大きな資金を投入してしまうこと。500万円、1000万円とがんばって資本金を用意しても、オフィスを借りて、そこに必要なものを用意したら、あっという間に消えてしまう。最初から十分な利益が出る事業などほとんどないから、たちまち赤字だ。
起業で大事なのは、とにかく、余計な資金をかけないこと。「小さく生んで、大きく育てる」というのはよく言われるが、定年後は「小さく生んで、長く続ける」ことが大事だと思う。後でまた取り上げるが、オフィスなど借りなくても、小額の費用でオフィスに代わるものを利用することもできる。いまや、起業のための支援システムはたくさんあるのだ。 - ●最も望ましい方法はやりたいことをやる
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定年後の起業で大事なのは、小額であっても、長く収入を得られる道を確保すること。そして、自分でも楽しんで仕事ができること。新しい人脈を楽しむこと。こういうことに尽きるのではないかと思う。
スーツを着て、事務所に通うという考えにもこだわる必要はない。通勤時間や交通費も積もれば大きな金額となる。自分の稼ぎから出すとなると、交通費でさえもったいないもの。在宅勤務と称して、自宅をオフィスとして活用し、必要なときに出かければいい。 - ●一番望ましいのは、やりたいことを始めることだ。
- 今までの人生で遣り残してきたことはなかっただろうか。それをまず考えてみたい。
- ●ばかにできない小遣い稼ぎの仕事
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遣り残したことも、特には思い至らないという人もいるかもしれない。そういう人は、いわゆる“大きな事業”には不向きだと思うので、小遣い稼ぎ程度の仕事を考えればいいと思う。小遣い稼ぎというけれど、案外、ばかにできないものがあって、事業としてうまくいったというのは、むしろ、こうした例に多い。
小遣い稼ぎの事業は、その気になれば、ヒントはあちこちに転がっている。まずは、自分の身の回りを見渡すこと。それから、家族、新聞・雑誌・ネット・地域・知人・仲間などからの情報も活用することである。そして、「起業」を柔軟な発想でとらえることが肝要です。